小山壯二の深堀!「HDRについて考える!」第1回
HDR嫌いか填まった訳
今やデジタルカメラの機能としても、多くの現像アプリにもHDR機能が備わっていますが、どうしても「写真ではない」印象が強く、試しては「まだ使えない」を繰り返してきました。しかし、このアプリに出会ってから、仕事では必需品となり多用する毎日です。
HDRとはそもそもどんな機能
大きく2つの目的があります
1)デジタルカメラが再現出来る被写体の明暗比には限りがあるので、ハイライトからシャドウまで白飛びせず黒つぶれしない再現を目指す
2)モニターやプリントなど再現出来る輝度域に限界がある出力ディバイスで、広い輝度域の被写体を撮影した写真を適切に表現する
ではPhotoshopCCに備わる「HDR Pro」では駄目なのでしょうか
PhotoshopCCにも「HDR Pro」という機能があって最も良く目にしているHDRではないでしょうか。
この機能を使って1段ずつ露出の異なる3枚の画像をHDRに合成してみました。
1段ずつ露出を変えて撮影した場合、最も明るい画像では池に映る雲が白飛びし、最も暗い画像では横たわる木は黒つぶれしています。
HDR Proの初期設定 HDR Pro 明るさやコントラストと他調整後
3枚の画像が持つハイライトからシャドーまでの全ての階調が再現されてはいますが、決して写真としては成立できていません。
かといって「シュールレアリズム」を選択した時の、このような仕上がりを求めてはいないのです。
HDRの作例としてこのような画像を目にするたびに益々嫌悪感が募っていました。
救世主?「Aurora HDR」との出会い
ネットでこのアプリが紹介されるシーンは多く気になっていました。気になったらどうしても試してみたい性分なので、お試しをダウンロード。これも他のアプリと同じだなと早とちりをするところでしたが、AIという言葉に惹かれもう少し弄ってみようと試すうちに填まったのです。
同じ画像をAurora HDRで処理するとこうなります。
気持ち悪いただ軟調な印象もなく、少し鮮やかな設定で撮影したのかなというだけで、写真を仕事にしていない人からは「すごく自然で見たままの印象」という言葉が良く聞かれます。当然ですが人の目は常にHDRでタイリング高画素合成を行っているので、「自然な見え方」と感じるようです。
HDRは特殊効果だけでなく、感動した被写体を感じたように自然に表現する、最大のツールなのだと思います。
次回はAuroraHDRを使った細部描写について深掘りします
小山壯二 株式会社プロテック代表取締役 いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、 精⼀杯写真を撮影する。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。 最近はパノラマ撮影など、写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。