秋元亮太・「Foton ♡ Hokkaido Photos 018 キリタップ」と霧多布湿原の薦め
Foton ♡ Hokkaido Photosは北海道の魅力を写真で伝える電子写真集レーベルです。
その中の「018 キリタップ」は道東、浜中町にある霧多布湿原で撮影をした写真を掲載しています。「ぼろフォト解決シリーズ」と違い本書には写真の説明がほとんど無いため、ここで少しだけ写真の解説をしたいと思います。
本書に掲載されている写真は2010年から2012年の5月、6月、7月に撮影をしたものです。
表紙にもなっているワタスゲの写真は6月下旬に撮影をしたものです。ワタスゲの輪郭が夕焼けに染まることを計算して、日没時の逆光をねらって撮影をしました。超望遠レンズを使いあえて離れた場所のワタスゲを撮ったのは望遠圧縮効果でワタスゲがより密集しているように見せるためです。構図を決める際にピントを合わせたワタスゲが背景のワタスゲと重ならないように気を付けました。同色が重なるとピントが分かりづらくなってしまうからです。
7月上旬に撮影をしたこの写真は、天気は晴れていたもの風が強い日だったのでNDフイルター等の道具を使わなくても揺れるワタスゲとエゾカンゾウが撮れると考え撮影をした写真です。一番気を付けたのはピントを合わせる場所です。草花すべてが揺れていては単なるブレ写真になってしまいます。動きが止まっている場所があるからこそブレではなく揺れになるのだと考えていたからです。低木の幹にピントを合わせ撮影しましたが、風が強過ぎるせいでピントを合わせた木まで揺れてしまい風の強弱を考慮しながらたくさんシャッターを切ったなかの1枚です。
6月下旬に撮影したクシロハナシノブの写真は霧多布湿原の中にある琵琶瀬木道から撮影をしたものです。花の先にある丸いボケはワタスゲです。背景のワタスゲのボケがクシロハナシノブの先端に位置するように角度を工夫して木道から身を乗り出して撮影をしました。幸いにも早朝だったので恥ずかしい撮影姿を他の人に見られることはありませんでした。
全88ページというボリュームたっぷりの本書は別名「花の湿原」と言われる霧多布湿原らしく花々を中心に夏の様子を収めた一冊になっています。そして本書に掲載されている撮影時期は今ですから霧多布湿原に行けば見ることができる景色や花ばかりです。ぜひ、道東旅行を検討されている方はコースに取り入れてみてはいかがでしょうか。
花の咲き具合などのお問い合わせは霧多布湿原センター(http://www.kiritappu.or.jp/center/)までどうぞ。
そして撮り方についてもっと詳しく知りたい方はぼろフォト解決シリーズ
を参考にしてください。
秋元 亮太 北海道釧路市生まれ。北海道東部を中心に自然風景を撮影している。 作品作りに専心する傍ら講義、講演を行いアマチュアの指導にも力を入れている。 2010年キヤノンカレンダー作家。道新文化センター講師。 hp:http://www.ezo-photo.info/