小山壯二のカメラの“!?”「簡易測色機はどこまで使えるか検証2」実例-1

実際の仕事等でどこまで使えるのか、アパレルのカタログ撮影で試してみました。

ここでカタログそのものを披露することは難しいので、問題の無さそうな被写体で作業手順をなぞってみます

100円ショップで色とりどりのパッケージの菓子を購入してきました
撮影はEOS 5D Mark IV 光源はスタジオストロボ 撮影時のWBは5200Kです
背景は薄いピンクを使ったので全体に色被りが出ると思います

本番撮影後にグレーチャートを写し込んで、DPPで現像時に中間グレーをクリックします

左は5200Kで撮影、右はグレーチャートをクリック
背景の色被りが消えて少し青っぽい印象になりました
次にピクチャースタイルを筆者オリジナルに変えて現像します

 

左は撮影時のピクチャースタイル=スタンダード、右はオリジナル
ピンクの色と緑の色が大きく変化していますが、まだ現物とほぼ同じとはいえません

レイヤーを追加してその上に測色した数値を元にパッチを作ります
かなり様子が違っていますので、「色相彩度レイヤー」をパッチレイヤーの下に作り調整した結果が以下の通りです

左は「色相彩度」調整前、右は調整後
パッチを外すと

並べてみます

 

左は5200K ピクチャースタイル=スタンダート、右はクリックWB ピクチャースタイル=オリジナル 測色による調整済み
こうして比べれば無視できない色の差です。メーカーとしては調整後を望むでしょう

オリジナルピクチャースタイルは公開しています。再配布等はご遠慮下さい
https://www.dropbox.com/sh/j2qotc3kgbl8pyo/AAASuYwTJrny0MO3yW8Sj0dTa?dl=0

本当のメリットは

なんだか面倒なだけで、「現物片手に色調整すれば良いのでは?」 と思われる方も多いと思います。
本当のメリットは写真の色見本として現物を必要としない点です。メーカーのカタログ等では、今でも印刷所には多くの商品が運び込まれています。こうした運用方法が通常になれば、色観察用光源を整備できていない編集現場のように、PCの作業環境に不安のある作業者でも、数値を入力し比較で色を合わせるので「職人技」は大きく軽減できます。まして動かせない巨大な建造物の色など測色が解決してくれると思います。遠隔地での色管理はカラーマネージメントのキーポイントでしたが、測色によって撮影から最終結果までが完結できると感じます

ただし、光の反射や雲の映り込みなどによる、色彩の変化を想定するなど常識として考慮すべきポイントは、依然として経験を必要とするでしょう


小山壯二
株式会社プロテック代表取締役
いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、
精⼀杯写真を撮影する広告カメラマン。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。
最近は語られなくなっているデジタルフォトの基礎など、深掘り小山壯二として使命を感じて活動。
写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。

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