小山壯二のカメラの“!?”「簡易測色機はどこまで使えるか検証1」色彩を伝えるということ

かなり前からデジタルカメラにおける色彩について興味を持って勉強してきました。昨年あたりから比較的安価な簡易測色機が、通販サイトで見かけるようになり、好奇心が徐々に高まって購入しました。
長年続けている広告写真では、雰囲気を伝える写真の重要性と同じように、現物を正しく伝える事を重要とする場合も多いのです。そこで、重要になってくるのが「色彩の伝達」です。商品の色彩が最終的にユーザーにどのように伝わっているのか今回はおさらいしてみます。

「分かったつもり」になっていませんか? デジタルの色彩伝達要素

上記は簡単に要素を抜き出したものです。

  1. 現物を見るときは、「現物の色」以外に「照明の質」が重要です。色温度、スペクトル、明るさ、どれか1つでも変われば人間は異なる色と認識します。
  2. カメラで撮影するときは、カメラの特性(色再現性、ホワイトバランス、階調、露出)に加え、撮影時の照明、データの色空間という新たな注意点が加わります。
  3. データを何らかのモニターで観察する場合は、モニターの置かれた環境光(明るさ、スペクトル)、モニターの特性(色再現性能、PCシステムのカラーマネージメント)
  4. カタログ等の印刷物ではさらに厄介で、RGBとはかけ離れやすい印刷の発色性能(色再現、濃度域)が重要です。

全てのステップで複数のチェック項目が重要

以上を踏まえた上で誤解なく色彩を伝達するという仕組みを考えたいと思います。

クローズ環境で変動要因を極力排除する方法

最も優れた仕組みは、iPhoneで撮影しiPhone で評価編集しiPhoneで他社へ送り、受けとった人はiPhoneで観察する。
特定のツールに限定することで、各段階で共通の基準を持つことと同じになり、iPhoneを見る時の環境光以外は不確定要素を排除できます。
同じように、特殊な業界でその業界だけの取り決めによる機械とルールを使えば、iPhone環境同様に完成したクローズ環境といえます。
しかし、ディバイスが固定化するということは、そのディバイスに依存することであって、安定はしても進歩を妨げます。少なくともカメラマンとして専門職が選択する事ではないと思います。

基準となる方法を決めて厳格に守る 

最初に紹介した全てのステップと項目において、色彩伝達のための方法はすでに決まっています。しかし、広く周知されていないため、被写体とWeb上の色彩が異なりトラブルを生んだり、同じデータであってもPCなのかスマホなのか観察のツールと環境で少なからず誤解を生じます。
正しく伝達する方法として最も重要ないくつかのポイントを上げて、次回から少しづつチャレンジしてゆきます。

被写体の色測定、色を表す文字と実際の違いを認識(文字で表す白とデータの示す最高輝度としての白」、表示ディバイスのチェックポイント

超小型測色機、スマホで操作でき、Lab 以外に多くのフォーマットで測色し、スペクトルも表示可能

次回から実際の測色とカラーマネージメントを紹介します

 


小山壯二
株式会社プロテック代表取締役
いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、
精⼀杯写真を撮影する広告カメラマン。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。
最近は語られなくなっているデジタルフォトの基礎など、深掘り小山壯二として使命を感じて活動。
写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。

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