Nikon AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G レンズデータベース 齋藤千歳の結論
Nikon AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G レンズデータベース 齋藤千歳の結論
※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
※解像力・ぼけディスク・周辺光量落ち・最短撮影距離の実写チャートによる詳細な評価などもご覧いただくにはぜひ完全版である電子書籍をご覧ください。

電子書籍「Nikon AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G レンズデータベース: Foton機種別作例集235 解像力・ぼけ・周辺光量落ち・最短撮影距離 実写チャートでレンズ性能のすべてをみせる! Nikon D850で撮影」から結論部分を抜粋して掲載しています。
味を追求した設計の標準レンズ
収差(味)を消すのではなくコントロールする思想で作られた1本
AF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gは、評価のもっとも難しいレンズのひとつといえるでしょう。語弊を恐れずに極論するなら、レンズの高画質化の基本は「いかに各種収差をなくすか」にあります。しかし、本レンズは、過去の名玉の味(多くのユーザーにとって好感度の高い収差)を分析し、2次元的なチャートをそのままに写し撮る従来のレンズ評価を重要視せずに、3次元を撮影し2次元化する写真レンズとして、不自然さがなく心地よい画像となる3次元的ハイファイなレンズを目指して設計したといいます。おそらくポートレートのような近景を撮影するとピントの芯はありながらやわらかく、とろけるような美しいぼけが楽しめ、絞って遠くの風景を撮影すると驚くほどシャープな描写が得られるという、矛盾したふたつの描写を同居させた名玉を各種収差のバランスで再現しているのでしょう。実際に近景となるチャートを撮影すると、開放付近では盛大に収差が発生し、ぼやっとした描写ですが、解像はされています。絞ると中央部分はF2.8くらいから収差がなくなり、周辺部分もF11くらいまで絞ると解像力が向上します。最大絞り値のF16でも解像力がほぼ低下しないので、絞れば絞れるほどシャープになるように感じます。開放と絞った状態での描写の差が大きく、名玉の資質のひとつと思われる二面性のあるレンズです。ただし、チャートの結果を見る限りでは絞っても、全体の解像力は中央部ほど上がりません。また、本レンズの次にニコンが発売した標準レンズNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sは、絞り開放から画面全体の解像力が高く、本レンズとは正反対の収差を消す設計思想を感じます。カメラメーカー純正の標準レンズとしては、非常にクセの強い本レンズですが、味(各種収差)を消すのではなく、コントロールする手法で作られたレンズとして非常に魅力的なものになっています。2019年と2020年にはニコンの新しい標準単焦点レンズの発売が予定されていますが、これらがそれぞれに収差を消す方向でも、収差をバランスさせる方向でも味付けできることを考えると新製品の味付けも楽しみになってきます。
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齋藤千歳 Saito Titoce Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決&Foton電子写真集シリーズ』代表、 カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。 月刊カメラ誌の編集者を経て、カメラ・写真および北海道関連の 電子書籍の撮影・執筆・編集・出版を行っています。 ケンコー・トキナー公式インストラクター No.021、 北海道ファンマガジン(https://pucchi.net/)Sクラス認定ライター。 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。 Facebookはtitoce.saitoです。 カメラ・写真および北海道関連のよろずお仕事承ります。