Canon EF135mm F2L USM レンズデータベース 小山壯二の結論
Canon EF135mm F2L USM レンズデータベース 小山壯二の結論
※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
※解像力・ぼけディスク・周辺光量落ち・最短撮影距離の実写チャートによる詳細な評価などもご覧いただくにはぜひ完全版である電子書籍をご覧ください。
頼りになる信頼の135mm
絞りによる解像力変化が少ない質実剛健
1996年に発売されすでに20年以上の月日が経過したレンズであり、長きにわたり高性能レンズの称号を得てきた1本です。一眼レフ以前のレンズ交換式距離計カメラの時代から存在してきた135mmという焦点距離は、85mm、100mmと並び最初に買う中望遠レンズとして、長く多くのユーザーに愛されてきました。筆者自身とてもなじみ深いレンズですが、今回初めてチャートによる客観的なテストを行い、日頃感じていた使用感の裏付けができたと思います。いちばんの長所は画面全体に均一で高い解像力です。色収差も少なく、詳細な被写体を鮮明にとらえるという、高性能レンズに求められる基本性能の高さを感じます。今回のテストでは有効約3,040万画素のEOS 5D Mark Ⅳでしたが、5,000万画素機でも十分な解像力を発揮してくれた経験もあります。次にフードの取り付けやフィルター枠の支持がレンズ支持に影響を与えにくい堅牢な構造である点は、ハードな使用でも安心感があります。防塵・防滴構造になっていない点は残念です。
少し気になる点としては、ぼけの表現があります。絞り開放では口径食が顕著で、なおかつ絞れるとぼけの形がはっきりと八角形となり、どの絞りでも美しい玉ぼけの表現が難しくなっています。F2.0の大口径ですからピントの合っていない部分の大きなぼけが画面を構成することも多く、レンズの印象を左右するかもしれません。最新のレンズともっとも異なる点は手ぶれ補正機構がない点です。20年以上前のレンズおいては、手ぶれ補正機構は当たり前のものではありませんでした。一般的に手ぶれしないシャッタースピードは「1/焦点距離」といわれますが、画素数が多くなるにつれて、この基準は当てはまらなくなります。慎重に撮影しても135mmでは1/500秒でもぶれることもあり、手ぶれ補正機構がないことは、望遠レンズにとってマイナスといえます。レンズの特徴を理解して性能を発揮するには、ときには三脚を使い、手ぶれに注意を払って、高い解像力を引き出し、玉ぼけが主体となる被写体ではあえて絞り開放かF5.6まで絞るかの選択が必要です。
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小山壯二 株式会社プロテック代表取締役 いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、 精⼀杯写真を撮影する。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。 最近はパノラマ撮影など、写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。