Canon EF40mm F2.8 STM レンズデータベース 小山壯二の結論

Canon EF40mm F2.8 STM レンズデータベース 小山壯二の結論

※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
※解像力・ぼけディスク・周辺光量落ち・最短撮影距離の実写チャートによる詳細な評価などもご覧いただくにはぜひ完全版である電子書籍をご覧ください。

コンパクトで必要十分の画質
マウントアダプター込みでも普通のレンズの大きさ

 「コンパクトで安く写りは本格派」などの形容詞が耳に馴染んでいたので、チャートでのテストが楽しみだった1本です。解像力やぼけはやはりコンパクト化の弊害は否めない印象でしたが、実勢価格2万円以下という投資に対して、十分に見合う性能であることは間違いありません。作りもしっかりとした金属感のある印象で、ズームレンズに置き換えられてしまった標準域にあって、利用頻度の高い焦点距離のパンケーキレンズは、いつもカメラを手元に暮らす方にはかけがえのない存在といえます。40mmという焦点距離は広角35mmと標準50mmの中間でやや中途半端です。抽象的ないい方になりますが、焦点距離による画角が絵を作るというより、使い手が画角に馴染むことで広い汎用性が発揮できる万能焦点距離ともいえます。ユーザーによってはもの足りない印象を持つかもしれませんが、本レンズ1本だけで1日撮影してみると、ズームでなくてもいろんな表現ができることに気付くでしょう。細かな性能の評価以上に好きになると手放せなくなる1本です。APS-C機に装着すると64mm相当となり、身の回りの景色を切りとる楽しみが増える画角になります。周辺解像力や開放でのやや強い周辺光量落ちも解消され、ユーザーの印象も大きく変わることでしょう。今回はEOS Rにマウントアダプターを使って装着でしたので、パンケーキレンズではなくなってしまいましたが十分小さく違和感はありません。AFは小気味よいキビキビ感というよりおっとりとした無音無振動で動体撮影には適していません。MFでは少し回転角が大きくピーキングなしのEVFでは使いにくい印象です。いつもバッグに忍ばせ、サッと取り出して撮る使い方がこのレンズにはいちばん似合います。ミラーレス一眼の新時代となった2018年は、レンズの高性能化と重厚長大が進み、コンパクト化が進むカメラボディとのマッチングに少なからず違和感もありました。すべてに優等生ではなくても、カメラと暮らし撮影を楽しむための機材として、パンケーキレンズの存在を今一度見直してもよいと感じたテストでした。

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小山壯二
株式会社プロテック代表取締役
いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、
精⼀杯写真を撮影する。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。
最近はパノラマ撮影など、写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。