小山壯二・電子マウントアダプター Fringer FR-FX10を使ってみた
レンズとボディーで異なるマウントの変換を行うマウントアダプターは、ミラーレス一眼カメラの普及で加速してきた。現在ではフランジバックさえ許せば大方の組み合わせが可能となっている。しかし、自動絞り、AF、AE、手ぶれ補正、EXIF情報伝達が正しく動作する機種は非常に少数だ。Fringer FR-FX10は、Canon EOS向けのEFマウントのレンズをFUJIFILMの Xマウントのカメラに装着し、純正の組み合わせと同じ動作を可能とするマウントアダプターで、Xマウント用としては希少な商品といえる。
今回使用した機材
仕様カメラ:FUJIFILM X-T2
マウントアダプター:Fringer FR-FX10
レンズ:Canon EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM/SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM/Tokina AT-X 535 PRO DX 50-135mm F2.8(販売終了)
※Canon EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM以外はFringer FR-FX10の正式対応機種ではない点に注意を。
電源をオンでFringer FR-FX10をカメラに装着したままレンズ交換すると、カメラはレンズを認識できない。Fringer FR-FX10をボディーから外す動作か、電源を入れ直す作業でレンズ情報が読み込まれる。レンズが交換されたとカメラは認識出来ないので、当然の動作ともいえる。
Exif情報はすべてが正しく伝達されているようだが、今回使用した3本のなかでレンズ名が正しく表記されるのは、対応レンズに含まれるCanon EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USMのみで、ほかは「Fringer/EF*******」と記録されている以外は正しく記録されている。アップデート可能なファームウエアで対応レンズに含まれれば、正しいExif表記になるのだろう。
装着したレンズの絞り操作もカメラから行えFUJIFILM製の絞りリングなしレンズと同じ使用感だ。AFは対応レンズのCanon EF-S15-85mm f/3.5-5.6 IS USMでは軽快で迷うこともないが、非対応の2本では往復して合焦する。Tokina AT-X 535 PRO DX 50-135mm F2.8は合焦できない確率が高い。対応レンズに入ればサードパーティー製レンズでも素早い動作になるかもしれない。
露出値も正確で手ぶれ補正も純正ボディーと変わらず動作している。レンズ側手ぶれ補正なので当然かもしれない。レンズ収差補正については、ボディー側で自動的に補正することは無理だが、RAW撮影でAdobe Camera Rawを使えばアプリに含まれるレンズパラメータが使用できる。
まとめ
Fringer FR-FX10マウントアダプターの使用感は、単にレンズを装着できただけではなく「撮影に集中できる」だけの高い互換性を有している。現在まで様々なレンズを使ってみたいとの思いから、マウントアダプターを試してきた。筆者は作品を作る撮影作業においては、出来るだけストレスはない方が良く不便が楽しいとは思えないので、Fringer FR-FX10の存在は大いに歓迎したい。
写真作例
小山壯二 株式会社プロテック代表取締役 いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、 精⼀杯写真を撮影する。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。 最近はパノラマ撮影など、写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。