齋藤千歳・ハーフグラデーションNDフィルターでお堀のサクラを撮る!
5月の大型連休過ぎになにをいっているのか? といわれると思いますが、先日サクラを撮影してきました。北海道は、このシーズンがサクラの季節なのです。サクラも、ミズバショウも、モモも、ウメも、レンギョウも、ツツジも、ほぼいっしょに咲くので、北海道の春は爆発するようにやってくるわけです。そして、暖かいシーズンはあっという間に終わるのですが……。
ということで、サクラの散る前に北海道有数のサクラの名所、函館・五稜郭に行ってきました。北海道では、珍しいお堀沿いのサクラが撮影できるポイントです。北海道以外ではメジャーな組み合わせだと思います。
お堀の映り込むサクラと、地上のサクラと背景の空、どこに明るさ(露出)を合わせるかが、非常にむずかしい被写体です。普通に考えるとどちらかを優先するしかありません。悩んで結果、全体が妙に暗い写真になってしまうことも多いのではないでしょうか。こんなときに私はハーフグラデーションNDフィルターを使います。今回、使用したものの正式名称は「cokin 121S ソフトグレー2(ソフトND8)」です。
デジタル化されてからは撮影用フィルターはいらないという方もいるようですが、私個人はハーフグラデーションNDフィルターと高濃度NDフィルター、C-PLフィルターにPRO SOFTONは必携だと思っています。この4種類のフィルターがなぜ必携なのか、どう使うのかについては、近いうちに電子書籍ぼろフォト解決シリーズ&Foton電子写真集などでまとめたいと思っています。フィルターメーカーさん、ぜひご協力を。
私が必携だと思っている撮影用フィルターのひとつ、ハーフグラデーションNDフィルターは、空と地上の明るさを異なるときなどに使うフィルターです。建物の屋根の上が極端に明るい、雪原と青空の明るさが極端に違う、水面と空の明るさの差が大きいといった、かなり広い範囲で活用できるフィルターです。画面内の輝度差を1枚の画像に抑えこめない条件などをコントロールするので、とりあえず撮影をしておいて、レタッチなどの修正するのが困難な調整でもあります。こういうと「HDR」を使えばいいという意見もあると思います。ある意味「その通り」だと思っていた時期もあります。しかし、実際に撮影してみると、HDRとフィルター使用では同じ結果が得られないシーンも多いのです。ただし、HDRのほうがよい結果を得られるシーンではHDRを使います。
cokin 121S ソフトグレー2(ソフトND8)を使って撮影した画像を見てもらうとわかるように、全体の明るさのバランスがよくなり、画面全体の発色がよくなっているのがわかると思います。そのため、私は空と地上部の明るさのバランスが悪いシーンでは、かなり積極的にハーフグラデーションNDフィルターを使います。ハーフグラデーションNDフィルターには、濃度やグラデーションなどにいくつかの種類があり、選択したものと撮影条件が合っているかを確認しながら撮影するのがおすすめです。
少し前に投稿したブログ記事「齋藤千歳のスマホのほうがうまく撮れる気がするので、Feelworld FH7を導入しました!」でもお話したように、私はカメラの背面モニターだけでなく、大型の背面モニターで細かい部分まで確認して撮影すると安心するタイプです。これはフィルター撮影のときにも大きな効果を発揮してくれます。大型モニターを外付けしておくと、撮影時に画面でフィルターの効果をしっかりと確認しながら撮影することが可能なのです。そのため、ハーフグラデーションNDフィルターの境界線を曲げて設置することも可能です。また、C-PLフィルターの角度も効果をモニターで確認しながら決定できます。
デジタルだから撮影フィルターはいらないという話もありますが、私はミラーレス一眼カメラと大型モニターに撮影用フィルターは非常に相性がよいと考えています。空の明るさのコントロールするハーフグラデーションNDフィルターは、普段の撮影にもおすすめの撮影フィルターです。ぜひ、試してみてください。そのときに外付け大型モニターも併用するのがおすすめです。
齋藤千歳 Saito Titoce Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決&Foton電子写真集シリーズ』代表、 カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。 月刊カメラ誌の編集者を経て、カメラ・写真関連の電子書籍の撮影・執筆・編集・出版を行っています。 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。 Facebookはtitoce.saitoです。 カメラ・写真のよろずお仕事承ります。5月には道の駅・ウトナイ湖で写真展示を予定しています。