齋藤千歳の 来た、見た。撮った! 第2回 千歳市・千歳沼 ミズバショウを撮る

第2回 千歳市・千歳沼 ミズバショウを撮る

Nikon D7500/AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR/120mm相当/シャッター速度優先AE(F4.5、1/400秒)/露出補正:+03.EV/ISO 1250/WB:オート
千歳沼のミズバショウのポイントは映り込みです。なぜ、映り込みが重要なのかは、本文にてお話させていただきます。

Amazon Kindleで好評発売中の電子書籍ぼろフォト解決シリーズ&Foton電子写真集の作例を撮影するために、今日も新しい撮影地を探している齋藤千歳です。今回は、北海道(うちのまわり)では、サクラが咲く頃に撮影のピークを迎えるミズバショウを撮りに千歳沼に行きましたので、その模様を紹介します。

千歳沼の入り口です。こちらも第1回で紹介した美々公園のなかにあるのですが、入り口は非常に見落としやすいので注意してください。

ミズバショウの群生地である千歳沼は、第1回で紹介したひらめき橋と同じ美々公園のなかにあります。そのため、新千歳空港から約10分と交通のアクセスもよいです。国道36号線を苫小牧方面に向かい、千歳科学技術大学・研究棟方向に、研究棟を通り越して、右手に千歳沼駐車場への入り口が現れます。看板などはありませんので、見落としに注意してください。

クルマで入れるのはここまでです。この先は徒歩での移動になります。一部湿地帯になるので、長靴や防水のトレッキングブーツなどがおすすめです。

千歳沼のミズバショウの群生地までは駐車場から徒歩になります。また、「特定猟具使用禁止区域(銃)北海道」です。群生地内に猟銃の薬莢らしきものが落ちていました。その場で発砲したものではないと思いますが、怖いのできちんと回収してほしいものです。ここから、少し歩きますので動きやすい服装で来ることをおすすめします。また、群生地は一部湿地帯になるので、長靴や防水のトレッキングブーツなどがおすすめです。ムシやダニなどもいると思いますので、長袖長ズボンが基本だと思います。

5分ほど歩くとミズバショウが群生しています。入り口の看板もないくらいなので、観光地として強く売り出している感じでもありません。

観光地として、強く売り出している感じでもないのですが、はじめて見るひとであれば、ちょっと感動するレベルで林のなかにミズバショウが群生しています。写真が趣味という方でなくても、たまたまミズバショウのシーズン(GW)中に新千歳空港を起点に北海道旅行をするとか、近所の方はぜひ一度ご覧になることをおすすめします。じつは撮影するよりも、見るほうが感動できる花(白い部分は葉ですけど)だと思います。森林浴気分でお出かけするのもいいでしょう。

さて、被写体として考えると、ミズバショウは個人的には撮影しにくい被写体だと思っています。まず、咲く? 位置が低いのでローアングルへの対応が必要です。また、時期や条件によっては、白い葉の先や緑の葉の先が黒や茶色に変色することが多く、この部分が画面に入るとあまり美しくならないという弱点もあります。さらに、ミズバショウが咲いている様子というと、美しい清流のなかに点々とというイメージです。しかし、実際には生育には湿地ならよいので、咲いている地面はドロドロとか、にごった水とか、単なる枯れ葉の重なった地面ということが多いのです。それらを避けると次に写真のようになるはずです。

Nikon D7500/AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR/120mm相当/シャッター速度優先AE(F5.6、1/400秒)/露出補正:+0.3EV/ISO 2200/WB:オート
被写体として選択したミズバショウの前後の葉をぼけとして入れることで、画面のなかの黒っぽい部分を排除して、画面を明るく仕上げました。

ドロや枯れ葉など、黒っぽいものを画面内からできるだけ排除して、画面を明るく仕上げてみました。こういった撮影には、明るい単焦点レンズよりも、AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VRといった望遠のズームが向いていることが多いです。標準ズームやマクロ、明るい単焦点レンズだけでなく、望遠ズームも忘れずに持っていくことをおすすめします。さて、まわりの葉などをぼけとして入れて、画面内に黒い部分を作らないといった逃げのテクニックは紹介しました。しかし、できることなら、きれいな水に映り込むミズバショウの様子などを撮影したいのが本音です。千歳沼はこれが可能です。群生のすべてというわけにはいきませんが、美しい水が流れる場所に咲いているミズバショウもあるのがうれしいところです。

Nikon D7500/AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR/120mm相当/シャッター速度優先AE(F5.6、1/400秒)/露出補正:+0.3EV/ISO 3600/WB:オート
美しい水の流れに映り込んでいた千歳沼のミズバショウです。うれしくなって映り込み側を主役に撮影してみました。

全部ではありませんが、千歳沼のミズバショウは美しい水の流れの上に咲いているものもあり、映り込みを利用した撮影が楽しめます。また、三脚を使えば長時間露光で水面をぶらすといった撮影も楽しめる環境になっています。観光地化されていないので、かなり自由に撮影を楽しめるのも、魅力的なミズバショウの撮影地です。ただし、禁止されていないからとか、ダメだと書いていないからみたいな理屈で、ほかの観賞者や撮影者の邪魔になるようなマナー違反はやめてください。いい大人以上の年齢の方が、そのような行動をされているのを目にすることがあります。せっかくの撮影に適した場所は、当然私ひとりのものではないですし、あなたひとりのものでもありません。自分のあとにも、観賞する方や撮影する方がいることを忘れずに、美しい自然を多くの方と楽しめたらと思い、ブログでも紹介しております。よろしくお願いします。

また、私の知らない、見落としているフォトジェニックな撮影地や被写体も、メールやFacebookのメッセージなどで教えていただけると幸いです。


齋藤千歳 Saito Titoce
 Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決&Foton電子写真集シリーズ』代表、
 カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。
 月刊カメラ誌の編集者を経て、カメラ・写真関連の電子書籍の撮影・執筆・編集・出版を行っています。
 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。
 Facebookはtitoce.saitoです。
 カメラ・写真のよろずお仕事承ります。5月には道の駅・ウトナイ湖で写真展示を予定しています。