「明日の健康 口腔がん手術「ICG蛍光法」 美唄歯科医師会・大坪 誠治」
がんの手術といわれても、自分のこととしてなかなか考えられませんが、いざというときのため、専門家による最新の技術のお話は聞いておきたいものです。
「広報びばい メロディー 2022年8月号」に美唄歯科医師会・大坪 誠治先生による口腔がん手術「ICG蛍光法」が掲載されておりましたので、転載してご紹介します。
以下「広報びばい メロディー 2022年8月号」より転載。
「明日の健康 口腔がん手術 美唄歯科医師会・大坪 誠治」
「口腔がん」を手術する場合、10㎜以上の正常部分を含めた切除が必要です。
しかし、この様な口内での大きな欠損は、かなりの侵襲が加わります。
がんの診断には、臨床的観察やさまざまな画像から、総合的にがんの全体像を想像します。これらの情報を基に手術をしますが、「がん」がしっかり切除されたかどうかは、切除された「端の部分」に「がん」が存在しているかどうかを顕微鏡で確認する必要があります。この様に手術後に結果がわかるので、手術する側にとって一番緊張する瞬間です。
また、端に腫瘍が残っていた場合の2次手術は非常に難しいものになります。
そこで手術時に切除する範囲がわかれば、より安全な手術が可能になります。そのための一つの手技が「ICG蛍光法」です。ICGは、もともと肝臓の検査に用いられる色素試薬ですが、一定の波長の近赤外線を当てると、蛍光を発する特徴があります。実際に手術時に用いると腫瘍部が蛍光を発することがわかっています。この方法を用い、切除後の残った部分が蛍光しなければ、切除は十分なされたと判断できます。この方法は、まだ一般的に用いられているわけではありませんが、手術時の補助的な確認手段として有用であると考えています。
近年、腫瘍に集まる薬を投薬し、腫瘍に近赤外線を当てることにより、健康な組織にはダメージを与えず、腫瘍のみを殺す方法(光線力学的治療)が、口腔がんで応用されています。最小限の手技で最大限の治療効果をあげ、少しでも機能障害を減らそうという試みは今後も研究されていくでしょう。
以上「広報びばい メロディー 2022年8月号」より転載。
最新のがん治療の手法などを知っておくとなんか安心するのは私だけでしょうか?
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