LENSBABY Velvet 85　レンズラボ　齋藤千歳の結論

LENSBABY Velvet 85　レンズラボ　齋藤千歳の結論

※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分のみを掲載したものです。
※解像力・ぼけディスク・周辺光量落ち・最短撮影距離の実写チャートによる詳細な評価などもご覧いただくにはぜひ完全版である電子書籍をご覧ください。

電子書籍「Foton機種別作例集159 実写とチャートでひと目でわかる！　選び方・使い方のレベルが変わる！　LENSBABY Velvet 85 機種別レンズラボ: SONY α7 II で撮影」から結論部分を抜粋して掲載しています。

計算して使いこなせば、上級者
随所に確信犯的な設計者の遊び心が感じられるのが魅力の1本

　LENSBABY Velvet 85はVelvet 56（焦点距離56mm、開放F1.6）をよりポートレート撮影向けに特化させたという1本。意図的に発生させた球面収差により、独特のソフト効果が得られるのが最大の特徴だ。焦点距離は85mm、開放F値1.8で、3群4枚と非常にシンプルなレンズ構成となっている。絞り羽根は12枚と、とても多い。また、最大撮影倍率は0.5倍と本格的なマクロ撮影もできる。がっしりとした金属鏡筒のマニュアルレンズである。
　単純にフワフワにぼけて、絞るとシャープになる楽しいソフトレンズという印象をもっている方も多いだろう。しかし、Velvet 85を本気で使いこなそうと思うと、かなりマニアックな知識と検証が必要になる。Velvet 85は、マニアックな設計思想で確信犯的に作られたレンズといえる。本レンズのソフト効果は、サイデル5収差のひとつである球面収差から発生している。そのため、開放では収差が大量に発生し、絞ると減少する。ただし、ぼけではないのでにじむような描写になっても線は線として描かれる。ただ、撮影画像を詳細に見ていくと、絞っても周辺部分の解像力はさほど改善せず、ソフトなことに気付く。おそらく像面湾曲のようなものを意図的に発生させていると思われる。一般的なレンズでは極力排除されるふたつの収差を味として活用しているのだ。このため、絞りで発生量のコントロール可能な球面収差によるソフト効果に加え、周辺部分は像面湾曲による収差でのソフト効果が複合されている。これを頭に入れて、明るい開放F値を利用して、ピントを合わせる位置を決め、ぼけを印象的に配置したい。収差によるソフト効果とぼけによるソフト効果の違いを理解し、うまく組み合わせて活用しよう。大きなぼけが発生しやすく、ピントもシビアになるマクロ撮影が可能な点も意欲的だ。当然ソフト効果は撮影距離の問題に、写真の鑑賞サイズまでを計算しないとせっかくの効果を魅力的に見せられない。なんでもソフトになって楽しいを卒業し、設計者から挑戦状のようなレンズの特徴を理解し、計算と検証のうえで使いこなすのが上級者の楽しみ方だ。

●LENSBABY Velvet 85
レンズ構成：3群4枚
最大径×全長：Φ76×89mm
質量：約530g（一眼レフ用）
価格：54,000円前後（税込）　
※2017年12月独自調べ

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齋藤千歳　Saito Titoce
 Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決＆Foton電子写真集シリーズ』代表、
カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。
 月刊カメラ誌の編集者を経て、北海道・千歳市を拠点に車中泊で全道各地を撮影、
カメラ・写真および北海道関連の電子書籍の撮影・執筆・編集・出版を行っています。
カメラのキタムラさんが運営する
ShaSha（http://shasha.kitamura.jp/）および
PASHA STYLE（https://pasha.style/）にてレンズレビューを連載中。
学研さんのCAPA CAMERA WEB（https://capa.getnavi.jp/）でも
レンズレビュー連載およびカメラバッグレビュー連載を担当しています。
焦点工房（http://stkb.co.jp/）の連載コラム「レンズチャートは囁く」を公開中。
ケンコー・トキナー公式インストラクター No.021、
北海道ファンマガジン（https://pucchi.net/）Sクラス認定ライター。
 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。
 Facebookはtitoce.saitoです。
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