Canon EOS 90D カメラデータベース 小山壯二の結論

Canon EOS 90D カメラデータベース 小山壯二の結論

※本ブログは、電子書籍カメララボシリーズやカメラデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
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安定のキヤノンAPS-C一眼レフ
高ISO感度に求める画像品質によって評価が分かれる1台

 もっとも多くのデジタル一眼を販売するキヤノンにあって、今回のEOS 90Dの初代に当たるのが2000年発売のEOS D30であり現在へと続いています。基本的なインターフェースは受け継ぎながら、個々の性能を磨き上げ続け、変わらぬ操作感を保持している点は、大きな先見性を感じます。EOS 90DではAPS-C機として最多画素となる3,250万画素を達成するなど、現行の上位機であるEOS 7D MarkⅡを実質上越える下克上を成し遂げています。EOSにおいて大きな変革となった「デュアルピクセルCMOSセンサー」により、ライブビュー撮影での性能が飛躍的に向上し、ミラーレス一眼との中間に位置するともいえる使い勝手のよさは、いいとこどりの結果といってもよいでしょう。AF性能や約10コマ/秒の高速連写などは、たゆまぬ一貫した進化の結果であり、製品としての安定感を感じます。
 今回、画像性能を中心にテストしてきた内容からいくつかの発見がありました。ひとつ目は画素数増加に伴う高ISO感度性能の低下が見られなかった点です。やや、非常用の感はありますがISO 51200を成立させた努力はメーカーの意地を感じます。作風や被写体によって大きく左右されますが、どこまでの高感度を必要とし、何をもって必要十分とするかはユーザー次第です。少なくとも高感度時の細部描写においてはライバル機に勝っているとはいえません。ふたつ目はダイナミックレンジと階調特性の進化です。ディテールを失いながらも被写体の輝度変化にしぶとく対応している点は賞賛できます。白とび際や黒つぶれ際にこだわる階調特性は、ユーザーに色彩設計の自由を与えてくれたピクチャースタイルとともに、代々受け継がれたEOSのポリシーであろうと思えます。
 筆者も普段から一眼レフとミラーレスを併用していますが、それぞれのメリットを強く感じどちらか一方に決めることはないと思っています。ハイエンド機とは異なる価格競争のなかで可能な限りの高性能化を図り、一眼レフにこだわったEOS 90Dはメーカーからユーザーに向けての大きな提案ではないでしょうか。


●Canon EOS 90D
有効画素数:約3,250万画素 APS-C判
大きさ:約140.7×104.8×76.8mm
質量:約701g(バッテリー、メモリーカード含む)
価格:165,000円前後(税込・ボディ単体) 
※2020年1月独自調べ

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小山壯二
株式会社プロテック代表取締役
いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、
精⼀杯写真を撮影する。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。
最近はパノラマ撮影など、写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。