LAOWA 12mm F2.8 ZERO-D レンズデータベース 齋藤千歳の結論

LAOWA 12mm F2.8 ZERO-D レンズデータベース 齋藤千歳の結論

※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
※解像力・ぼけディスク・周辺光量落ち・最短撮影距離の実写チャートによる詳細な評価などもご覧いただくにはぜひ完全版である電子書籍をご覧ください。

画面全体の解像力の高い超広角
解像力チャートを見直すほどの高い周辺解像力を実現した1本

 現在、5,000万画素オーバー時代の幕開けや35mm判フルサイズミラーレス一眼の新マウントが次々とラインアップされた影響などで、フィルム時代とはまったく異なる基準で作られた高性能レンズが次々と登場しています。すばらしいレンズが数多く発売され、実写チャートを撮影する私もとても楽しいわけです。そんななか、私をもっともドキドキさせてくれるレンズブランドのひとつがラオワになります。今回のLAOWA 12mm F2.8 ZERO-Dは、キヤノン EF、ニコン F、ソニー A、ペンタックス Kの一眼レフマウントと実際にテストにも使用したソニー Eマウントに対応する超広角単焦点レンズです。これを生産するラオワは2013年に中国で起業したブランドで生産も中国の自社工場。しかし、本レンズの実勢価格は13万円オーバーです。2018年1月ラオワ調べではもっとも広角のF2.8というスペックですが、新興の中国ブランドとしては、かなり強気の価格設定といえるでしょう。しかもAFはありません。
 また、カメラ本体と情報のやりとりをする電子接点もないので、レンズの純粋な光学性能とRAW現像などの後処理ですべてを完結する必要があるのです。しかし、LAOWA 12mm F2.8 ZERO-Dの解像力チャートの結果は、絞り開放から周辺部まで見事な、いやちょっと異常なほどの解像力を示します。ただし、周辺光量落ちと各種収差は明確に観察されました。現在のレンズ設計は光学にしかできないことはレンズで、デジタルで補正できることはデジタルでというのが主流です。それでも光学性能が悪くみえるのがいやなので、適度なバランスを優先するのが一般的でしょう。これに対してLAOWA 12mm F2.8 ZERO-Dは、最終的に獲得できる画像を優先したのか、周辺光量落ちや各種収差は必要なら後処理で対応、おそらく最優先した解像力は、超広角ながら周辺部まで妥協を感じない驚くべき性能を実現しています。十分、普通にも使えますが、レンズの設計意図を理解して、使うとさらに高い画質が得られる上級者向けの1本です。個人的には、いまどきレンズが使い手を選ぶところにもドキドキします。

●LAOWA 12mm F2.8 ZERO-D
レンズ構成:10群16枚
最大径×長さ:約Φ74.8×82.2mm
質量:約610g(マウントによる変動あり)
実勢価格:136,000円前後(税込)

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齋藤千歳 Saito Titoce
 Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決&Foton電子写真集シリーズ』代表、
カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。
 月刊カメラ誌の編集者を経て、北海道・千歳市を拠点に車中泊で全道各地を撮影、
カメラ・写真および北海道関連の電子書籍の撮影・執筆・編集・出版を行っています。
カメラのキタムラさんが運営する
ShaSha(http://shasha.kitamura.jp/)にてレンズレビューを連載中。
ケンコー・トキナー公式インストラクター No.021、
北海道ファンマガジン(https://pucchi.net/)Sクラス認定ライター。
 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。
 Facebookはtitoce.saitoです。
 カメラ・写真および北海道関連のよろずお仕事承ります。