Nikon AI AF Nikkor 50mm f/1.4D レンズデータベース 齋藤千歳の結論

Nikon AI AF Nikkor 50mm f/1.4D レンズデータベース 齋藤千歳の結論

※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
※解像力・ぼけディスク・周辺光量落ち・最短撮影距離の実写チャートによる詳細な評価などもご覧いただくにはぜひ完全版である電子書籍をご覧ください。

セミビンテージな描写を楽しむ
多くのニコンユーザーに明るい単焦点レンズの楽しさを伝える名玉

 AI AF Nikkor 50mm f/1.4Dの発売年度はネットで調べる限りでは1995年、なんと約25年前、四半世紀前の20世紀に発売されたレンズが、数々の新製品が発表されるニコン純正のラインアップのなかで現役なのです。ある意味、奇跡に近いといえるのではないでしょうか。実勢価格は31,000円前後(税込)です。最近の35mm判フルサイズミラーレス一眼用レンズの価格に慣れてきた私には「びっくりするほど安い」と感じる価格といえます。また、レンズのサイズは最大径64.5mmで長さが42.5mm、しかも質量は約230gといまや、こんなに小さくて写るのか? と心配になるレベルのコンパクトさです。ほんの少し前までは、これくらいのサイズが常識だったのですが……。ミラーレス化されるとカメラの構造が簡単になり、小さく軽く、安くなるってうわさはどこにいったのか、不思議でなりません。
 画質について、冷静にみていきましょう。解像力は、中央部、周辺部ともに開放付近からF2.8あたりまでは、球面収差などと解説されることが多い収差の影響か、解像していないわけではないが、全体にふわっとする描写となります。ただし中央部でF4.0程度、周辺まで入れるならF5.6まで絞ると画面全体で高い解像力が得られます。周辺光量落ちはカメラ本体によるデジタル補正が行われますが、それでも開放付近で明確に発生します。さらに、ぼけについても、非球面レンズの影響が大きいといわれる同心円状のシワの発生はないものの、収差によるフチの色つきや円形絞りではないため絞り羽根の形がはっきりと見える傾向にあります。
 端的にいうと、さすがに設計の古さが目に付くといえます。絞り開放から高い解像力を発揮する最新レンズとは異なり、開放付近のクセのある描写、絞り込むことで画面全体にシャープになるなど、いまやビンテージレンズと呼ばれるレンズたちのような描写です。この点を理解して使うなら、大きさ、重さ、価格のメリット、そしてなによりも多くのニコンユーザーが愛してきた単焦点ならではの大きなぼけが、いまも手軽に楽しめる1本といえます。

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齋藤千歳 Saito Titoce
Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決&Foton電子写真集シリーズ』および、
カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。
月刊カメラ誌の編集者を経て、北海道・千歳市を拠点にカメラ・写真関連の
電子書籍の出版、車中泊を繰り返しながら北海道の自然を撮影しています。
中小企業庁委託事業「ミラサポ」派遣専門家、ケンコー・トキナー公式インストラクター No.021、
北海道ファンマガジン(https://pucchi.net/)Sクラス認定ライター。
 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。
 Facebookはtitoce.saitoです。
 カメラ・写真および北海道の旅行・車中泊関連のよろずお仕事承ります。