ZEISS Loxia 2/50 機種別レンズラボ 齋藤千歳の結論

ZEISS Loxia 2/50 機種別レンズラボ 齋藤千歳の結論

※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
※解像力・ぼけディスク・周辺光量落ち・最短撮影距離の実写チャートによる詳細な評価などもご覧いただくにはぜひ完全版である電子書籍をご覧ください。

伝統のPlanarを味わうレンズ
ZEISSの伝統的標準レンズデザインPlanarを堪能できる1本

 ZEISS Loxia 2/50は、ソニー Eマウント用、35mm判フルサイズ対応の50mm標準単焦点レンズだ。Loxiaシリーズのレンズなので、AF機構を搭載しないマニュアルフォーカス(MF)レンズになっている。レンズ構成は4群6枚。レンズの設計は、非常にベーシックなPlanar(プラナー)タイプ。Loxiaシリーズでも唯一非球面レンズや異常部分分散レンズなどを使用していない。そのためか、Loxiaシリーズのなかでも、購入しやすい価格帯であることはうれしい。レンズサイズはΦ62×59mmと非常にコンパクト。Sony αシリーズとの組み合わせでもバランスがいい。質量は約320gで、コンパクトなレンズながらずっしりとした重みを感じるのも、シリーズ共通となっている。精緻な金属鏡筒や繊細なトルク感のあるピントリングなどもLoxiaシリーズ共通だ。Sonyの35mm判フルサイズEマウント向けの50mm単焦点レンズには、高性能なものが多数用意されているが、なかでもLoxia 2/50は高性能な1本であろう。シリーズ共通でコンパクトなレンズ設計のため、開放F値がやや暗く、口径食が発生しやすいのと、ぼけに絞り羽根の形がはっきりと出るのは、レンズの設計思想ととらえるべき部分だ。このレンズの絞り開放から中央部および周辺部まで、しっかりとした解像力、なめらかなぼけは、しっとりとあでやかで立体感のある描写を生み出してくれる。解像力のピークはF8.0前後だが、F22を除く、すべての絞りで高い性能を発揮、使いやすい標準レンズになっている。実際に使っていて、もっとも気になったのは、1896年、なんと19世紀に発明されたという元祖Planarのダブルガウスと呼ばれるレンズデザインをかなり忠実に守っているにも関わらず、非常に高性能であること。レンズのガラスの性質やレンズコーティングによって、高性能化しやすいといわれるPlanarとはいえ、非球面や異常部分分散といった特殊なレンズも使うことなく、現代レンズとして十分以上の性能を発揮する。まさに伝統のPlanarの味はそのままに、多画素化されたデジタル時代にも通用にする1本になっている。

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齋藤千歳 Saito Titoce
 Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決&Foton電子写真集シリーズ』代表、
 カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。
 月刊カメラ誌の編集者を経て、カメラ・写真および北海道関連の
電子書籍の撮影・執筆・編集・出版を行っています。
ケンコー・トキナー公式インストラクター No.021、
北海道ファンマガジン(https://pucchi.net/)Sクラス認定ライター。
 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。
 Facebookはtitoce.saitoです。
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