Canon EF24-70mm F2.8 LⅡ USM レンズデータベース 小山壯二の結論
Canon EF24-70mm F2.8 LⅡ USM レンズデータベース 小山壯二の結論
※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
※解像力・ぼけディスク・周辺光量落ち・最短撮影距離の実写チャートによる詳細な評価などもご覧いただくにはぜひ完全版である電子書籍をご覧ください。
個性を理解して使いたい
よくも悪くもEF時代の代表レンズ
キヤノンのデジタル一眼レフを手にしたユーザーなら誰しもが、できることなら所有してみたいと思うレンズの1本が、EF24-70mm F2.8L ⅡUSMでしょう。キヤノンには同じ焦点距離の範囲でF4.0のレンズ1本とRFレンズを含めて3本の24-105mmズームがあり、さらに超弩級のRF28-70mm F2 L USMも用意されています。それぞれの個性と価格によって支持するユーザーは異なりますが、ユーザーにとって憧れを伴った目標点のひとつがEF24-70mm F2.8L ⅡUSMだと思います。
仕上がりはEF Lレンズらしく、ギュッと詰まった光学ガラスと金属パーツの重さに、手にした瞬間から安心感を覚えます。また、今回のテストでは過去の既成概念を挟まずチャートによる検証を行った結果、いくつかの確証を得ることができました。画面中心部では絞り開放から信頼できる解像力をすべての焦点距離で発揮し、望遠端では周辺部の解像力の低下が少なく、口径食の少なさによる周辺光量落ちの少ない描写には好感がもてました。F2.8通しという大口径ズームならではのぼけを十分に楽しめます。広角側を重視されやすい焦点距離で、信頼できる望遠端の性能を有していることは、本機の個性と呼んでよいでしょう。しかし、2012年発売という年月を経たレンズのため不満がないわけではありません。顕著なのが広角端での絞ってもなかなか改善しない周辺部の解像力不足です。風景の撮影ではもの足りなさは否めません。また、ぼけのチャートでも広角端では最新のレンズには及ばない結果が明白です。
昨今のレンズ設計では、周辺光量や色収差、歪曲などデジタルで補正が可能な収差はデジタルで補正し、補正できない解像力などの性能に注力する傾向が見られますが、EF24-70mm F2.8L ⅡUSMはそうした発展の途上の設計であると想像できます。コンパクト化するボディに反するように、重厚長大化し高価になってゆく高性能レンズをよしとするかどうかは、購入者の使途と予算によりますが、EFレンズ唯一のF2.8通し標準ズームとして、さらなるブラッシュアップに期待したいところです。
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小山壯二 株式会社プロテック代表取締役 いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、 精⼀杯写真を撮影する。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。 最近はパノラマ撮影など、写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。