小山壯二・キヤノンDPPでRAW現像時に最高のシャープネスを目指す!

カメラのクセを見抜き、被写体に合わせたシャープネス調整を、何割のユーザーがしているだろうか。
Canon EOS 5D Mark IVと純正のRAW現像ソフトであるDigital Photo Professional(以下DPP)を使って、シャープネス調整の実際を紹介する。
多画素機への物欲に縛られる前に読んでほしい。


この写真はEF135mm F2L USMを使い ISO100絞り値=F5.6でRAWとjpegの同時撮影をしている。
デフォルト設定での細部描写を以下の画像で確認してもらいたい。


ピクチャースタイルはオートとしシャープネスの調整は行っていない。撮影時の状態をRAWデータで確認したところ、カメラでの設定と同じ数値であり以下のようになっている。

強さ=どの程度輪郭をハッキリさせるか
細かさ=強調するために影響を与える幅を繊細にするか太くするかの設定
しきい値=僅かな明暗差もクッキリさせる場合は数値を小さくする

この状態で確認して欲しいのは空と電線や鉄骨の境に白い縁取りがハッキリ見てとれる事だ。この結果細部描写はどことなく荒っぽく繊細感にかけている。鉄骨の表面に質感を感じ取ることは出来ない。
そこでカメラでピクチャースタイルの詳細設定からシャープネスの変更を行い、jpegで撮影した画像を紹介する。

カメラの設定でシャープネスのパラメータを変更した。
強さ=4、細かさ=1、しきい値=2
白い輪郭線が細くなって少しだけ繊細さがアップした。しかもガチャガチャした印象は見られない。ほぼ満足出来る結果だ。
もう少し繊細でキリリとした印象にするには、DPPによるRAWデータ現像でもうひと少し調整を加える。


カメラでは最小数値は1までだったがDPPでは0.1単位で調整可能だ。しきい値を半分にし細かさはさらに小さく設定した。
シャープネス調整加えて、デジタルレンズオプティマイザ(以下DLO)を使うとより極細部がキリリとしてくる。

ツールパレットのレンズ補正タブの中にDLOはある。
DLOはより繊細な描写のために、機種ごとの特性を測定し機種固有の調整を行ってくれる仕組みだ。ズームでの焦点距離による変化や、撮影距離による変化まで対応しているようだ。純正レンズほとんどのレンズでパラメータが用意されている。適用はチェックボックスのクリックだけで強度の調整も可能。

シャープネスとDLOを加えた結果では、白い縁取りは大幅に減少し、鉄骨の錆びたザラツキさえ感じさせてくれる。

今回紹介した方法がどんなシーンでも絶対ではないが、容易に細部描写を改善出来る手法として覚えていても損はない。シャープネスを強める処理は未熟者で、上級者は柔らかい描写を好むという都市伝説も存在するが、私はナンセンスだと感じている。選択肢を理解して旨く使いこなす楽しさによって、繊細さ=画素数=高価とつまらない連鎖を防ぐことが出来るのだ。有効約3040万画素のEOS 5D Mark IVで注意深くプリントした場合、A3サイズでも被写体によっては差を感じる事が出来るだろう。


小山壯二
株式会社プロテック代表取締役
いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、
精⼀杯写真を撮影する。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。
最近はパノラマ撮影など、写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。