齋藤千歳・いまさらのクローズアップレンズは意外といいかも!?

先日、我が家のなかでパンドラの箱のようになっていたクローゼットが開けたところ、Voigtländerレンズが4本ほど発掘され、Kenko M MOUNT ADAPTERでSony Eマウントに装着した話は先日「齋藤千歳・Kenko M MOUNT ADAPTERでVoigtländerレンズを使う001 どうせ撮るならかっこいいほうがいいじゃない」でお話させていただきました。

同じクローゼットの、そこからは、なんで、いつ手に入れたかも思い出せない「クローズアップレンズ250D/58mm」が、箱の底に残った希望のように発見されました。

なんで買ったのかも、思い出せないキヤノン クローズアップレンズ250D/58mmが出てきました。

デジタル一眼レフを買って、早々にマクロ撮影にはまり、かなり早い時期にマクロレンズを買ったので、そのまえにマクロ的な撮影がしたくて購入したのかもしれません。レンズの先端に撮影用フィルターのように装着するとクローズアップレンズ250Dでは、レンズ先端からのワーキングスタンスが25cmに、クローズアップレンズ500Dでは50cmになり、マクロ的なクローズアップ撮影が楽しめるというカメラアクセサリーです。ちなみにクローズアップレンズ250Dのほうがクローズアップレンズ500Dよりも高倍率になるそうです。クローズアップレンズ250Dの対応レンズはこちらで確認できます。対応レンズは、明記されていますが、フィルター径があえば基本的には他社製レンズにも装着可能だといわれております。保証の範囲ではありませんよ。

ケースから出してみると、58mm径の分厚いフィルターといったところ。実際にクローズアップフィルターのなので当然ですが……。

装着できるレンズの口径による使用制限がある、さらにピントの合う範囲がレンズ先端から25cmに固定されるといった、撮影に関する制限が多いのであまり使わないまま、我が家のパンドラの箱にしまい込まれたのでしょう。

しかし、久しぶりにクローズアップレンズをみてひらめいたことがあります。「これならカメラのレンズを1本着けて、ジーンズの尻ポケットに放り込める」ということです。カメラ1台のほぼ手ぶら撮影でクローズアップが楽しめるではないですか! それはきっと軽快で、踊るような素敵な写真が撮れるに違いないと、妄想は膨らむわけです。

そこで、探したのがフィルター径58mmのEFもしくはEF-Sレンズです。我が家にはEF85mm F1.8 USMしかありませんでした。最短撮影距離85cm、最大撮影倍率0.13倍の寄れないポートレートレンズです。適当な標準ズームとかのほうが撮影の幅が出やすくてよかったのですが、寄れないことで定評のある明るい中望遠で使うのも楽しいかと思い装着してみました。

EF85mm F1.8 USMに装着してみました。小さなフィルターなのでさほど邪魔な感じはありません。

撮影してみました。

レンズ:EF85mm F1.8 USM+クローズアップレンズ250D/カメラ:EOS 7D/絞り優先AE(F1.8、1/500秒)/露出補正:+1.0EV/ISO 100/WB:オート
絞り開放では、どこにピントが合っているのかわからないほどポワポワに。でも、悪くないです。

EF85mm F1.8 USMの最短距離付近で普通に撮るとこうなります。

レンズ:EF85mm F1.8 USM/カメラ:EOS 7D/絞り優先AE(F1.8、1/500秒)/露出補正:+1.0EV/ISO 100/WB:オート
最短撮影距離が85cmと寄れないレンズなので、背景はぼけますが、クローズアップとはいえないレベルの撮影です。

EF85mm F1.8 USM+クローズアップレンズ250Dで絞りをF5.6まで絞りました。

レンズ:EF85mm F1.8 USM+クローズアップレンズ250D/カメラ:EOS 7D/絞り優先AE(F5.6、1/160秒)/露出補正:+1.0EV/ISO 320/WB:オート
絞り開放では、ボケボケだった画質は問題のないレベルになります。マクロ的なクローズアップとしても十分以上ではないでしょうか。

さらに、異なる比較作例をご覧ください。
まずは、EF85mm F1.8 USMの最短距離付近です。

レンズ:EF85mm F1.8 USM/カメラ:EOS 7D/絞り優先AE(F2.8、1/160秒)/露出補正:+0.3EV/ISO 400/WB:オート
雪月花廊 喜茂別旧双葉小学校史料館のカフェのテーブルにいけられていた花と花瓶を撮影しました。EF85mm F1.8 USMの最短撮影距離付近ではこんな感じです。
撮影協力:雪月花廊 喜茂別旧双葉小学校史料館

クローズアップレンズ250Dを装着して、絞りを変化させていきますよ。

まずはちょいしぼのF2.8です。

レンズ:EF85mm F1.8 USM+クローズアップレンズ250D/カメラ:EOS 7D/絞り優先AE(F2.8、1/125秒)/露出補正:+0.3EV/ISO 400/WB:オート
F2.8でもかなりフワフワになりますが、これはこれでありだと思うのは私だけでしょうか? 
撮影協力:雪月花廊 喜茂別旧双葉小学校史料館

次にF4.0まで絞ります。

レンズ:EF85mm F1.8 USM+クローズアップレンズ250D/カメラ:EOS 7D/絞り優先AE(F4.0、1/60秒)/露出補正:+0.3EV/ISO 400/WB:オート
F4.0の表現がよいか? それともF2.8か、撮影者の意図と好みが判断のわかれ目ではないでしょうか? 
撮影協力:雪月花廊 喜茂別旧双葉小学校史料館

最後にF8.0まで絞りますよ。

レンズ:EF85mm F1.8 USM+クローズアップレンズ250D/カメラ:EOS 7D/絞り優先AE(F8.0、1/15秒)/露出補正:+0.3EV/ISO 400/WB:オート
F8.0まで絞りました。F2.8やF4.0とは撮影意図の異なる写真になったのではないでしょうか。思う以上にクローズアップレンズはおもしろいです。 
撮影協力:雪月花廊 喜茂別旧双葉小学校史料館

今回は、たまたま自宅で発見したキヤノン クローズアップレンズ250Dを使って撮影を行ってみました。口径が合えば、レンズ1本+クローズアップレンズといった手ぶら撮影スタイルでまったく印象の異なる写真が撮影できるのは非常に魅力的です。本格的なマクロレンズの購入に悩んでいる方も試しにチャレンジもありだと思います。

すでにマクロレンズを持っていて本格的なマクロ撮影を楽しんでいる方にとっても、実はクローズアップレンズは口径のステップアップや他社製のレンズへの装着、2枚重ねなども可能になってるので、さまざまな使い方が考えられます。

純正だけではなく、ケンコー・トキナーなどからはさまざまな倍率のクローズアップレンズが、純正よりもかなりお求めやすい価格でラインアップされています。こちらも一度チェックしてみることをおすすめします。

ケンコー・トキナー・クローズアップレンズのラインアップ

初心者にとってはマクロレンズへの入門準備用として、中上級者にとっては、手軽に新しい表現にチャレンジするためのアイテムとして、予想以上に楽しいクローズアップレンズ。次回のブログ記事では、保証対象外となることも多いですが、重ねづけや他社正レンズに着けてみようとも思っています。ぜひ、ご期待ください。

今回の撮影には、撮影小旅行中に迷い込んだ 雪月花廊 喜茂別旧双葉小学校史料館さん にご協力いただきました。今後の作例でもご紹介しますが、フォトグラファーにとって非常に魅力的なフォトジェニックな場所になっています。こちらもぜひ一度訪れてみてください。


齋藤千歳 Saito Titoce
 Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決&Foton電子写真集シリーズ』代表、
 カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。
 月刊カメラ誌の編集者を経て、カメラ・写真関連の電子書籍の撮影・執筆・編集・出版を行っています。
 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。
 Facebookはtitoce.saitoです。
 カメラ・写真のよろずお仕事承ります。現在、道の駅・ウトナイ湖で写真展示を開催しています。