小山壯二の深堀!「DPPの新機能“HDR QP”って何だ?」

小山壯二の深堀!「DPPの新機能“HDR QP”って何だ?」

カメラのスペックには日頃敏感なユーザーも、オマケのように付属しているアプリの進化をフォロー出来ている人は少ないのではないか。アップデートがあるからインストールしても、この手順の中で新機構を解説はしてはくれない。2020年には注目機種の発売も控えているが、DPPはすでに次のステップへと動き出している。
CanonのRAW現像アプリであるDigital Photo Profesional(以下DPP)に、時々ひっそりと新機能が加わっている事をご存じだろうか。被写体側の輝度レンジを広く1枚の画像に記録する「HDR」という機能は、比較的ポピュラーになってきたが「HDR QP」という機能は全く異なる機能だ。

左はEOS 5D Mark IVで撮影したRAWデータをピクチャースタイル「スタンダード」、WB「太陽光」で現像した。右は同じRAWデータを「HDR QP」を「オン」として現像した結果だ。一見してハイライト部分の階調が濃く豊かになった。

もし、ハイライト再現をコントロールするだけなら以下の様に現像時に露出のマイナス補正とトーンカーブを使う方法もあるが、何の目的でこの機能が追加されたのだろうか。

写真としては此方の方が自然にも思えるが、雲の表現は真似出来ない。

「HDR QP」は現在DPP4.10で採用された機能で、対応するカメラはEOS 5D Mark IV、EOS R、EOS RPの3機種だけだ。DPPで対応するカメラのRAWデータを開き「ツールパレット」のギアマークタブから選択出来るチェックボックスをONにするだけだ。この段階で大きく見た目が変化しDPPの他の設定に制限もかかる。

HDR PQをオンとすることで他のパレットでは露出やWBを調整するタブは以下のように制限される

ピクチャースタイルが使えなくなり、シャドウ、ハイライトのスライダーもグレーアウトする。ガンマ調整部の構造が変わり調整範囲が広がったようだ。
詳細は対応カメラを持っている方は実際に触ってみて欲しい。

そもそも「HDR QP」とは?

すこし調べて見ると「HDR PQ」は静止画の用語ではなく、動画のHDRに関する仕組みを表す用語だった。テレビの仕組みで「ハイビジョン」や「4K」は画像の緻密さを表している。一方輝度や色域に関する定義も存在する。今までの標準的色域や輝度の定義は「SDR」といわれ、白輝度は現代では暗く感じ色域は狭いのだ。明るい広い色域のHDRディスプレイで最大限性能を発揮する、データと表示の規格が「HDR QP」といえる。

少し分かりにくい表現になるが、「HDRモニターで再現した状況を一般のモニター上で出来るだけ似せた結果」を作り出す仕組みが、DPP4に備わった「HDR PQ」といえるだろう。一般の静止画にどのような効能があるのか、機能を理解しての使い方次第だ。しかしDPPで「HDR QP」を使う事で撮像素子の持っている情報をより沢山引き出せることは間違いないだろう。少し動画とは異なる使い方であっても静止画でも活用出来そうだ。

 

●Canon Digital Photo Professional 4のダウンロードサイト

https://cweb.canon.jp/cgi-bin/download/select-product-by-catg.cgi?i_cd_pr_catg=105
使用するカメラの機種名を選択し、シリアル番号を入力してダウンロードする

小山壯二
株式会社プロテック代表取締役
いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、
精⼀杯写真を撮影する。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。
最近はHDR撮影、深度合成撮影、パノラマ撮影などを通常の業務で活用。写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。

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