銘鏡光学 TTArtisan 35mm f/1.4 ASPH 機種別レンズラボ 齋藤千歳の結論
銘鏡光学 TTArtisan 35mm f/1.4 ASPH 機種別レンズラボ 齋藤千歳の結論
※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分のみを掲載したものです。
※解像力・ぼけディスク・周辺光量落ち・最短撮影距離の実写チャートによる詳細な評価などもご覧いただくにはぜひ完全版である電子書籍をご覧ください。
やわらかく芯のある開放描写
解像しているがソフトな開放と絞るとバキバキにシャープなレンズ
2019年12月20日から焦点工房が日本国内で取り扱うことになったTTArtisan(ティーティーアルチザン)は深センの銘鏡光学から2019年6月に誕生した非常に新しいレンズブランドです。今回はライカ Mマウント用のTTArtisan 35mm f/1.4 ASPHにSHOTEN LM-SE (B)を使ってSony α7R IIIに装着して各種テストを行いました。 金属パーツを多用した本レンズは小さい割にはずっしりと重く、クラシックな外観デザインからのイメージもあり、明るくぼけの美しいオールドレンズ的な描写だと思い込んでいました。
しかし、実際にチャートなどの撮影を行うと、7群8枚中後玉の1枚が非球面、3枚が高屈折低分散レンズと半数が特殊レンズという豪華なレンズ構成のためか、驚くような結果が得られました。なかでも、驚いたのが解像力チャートです。中央部については、開放のF1.4では球面収差によるものか? 紗のかかったようなソフト感はあるものの、解像自体はしっかり行われ、F2.8程度で、そのソフト感も消えます。絞るほどに解像感が向上、F8.0からF11程度が解像力のピークになります。さらに驚くのは周辺部の解像で、開放ではかなり厳しいと予想したのですが、中央部と同じように紗のかかったようなソフト感と色収差や周辺光量落ちによるコントラストの低下は発生しますが、解像はしている状態です。まさにやわらかいが芯はあるという描写です。しかも、絞るほどに各種収差は軽減し、ソフト効果的な収差はF2.8まで、F5.6では色収差も気にならなくなり、F8.0〜F11で解像力のピークを迎えます。ぼけについては非球面レンズの影響などがみられ平凡です。また周辺光量落ちの多さは、デジタルでの使用が前提のレンズでは後処理での対応が常識という設計意図なのでしょう。周辺光量落ちや色収差などデジタルで補正できる部分は、デジタルで補正することを前提とし、解像力などの光学でしか得られない効果をレンズ性能では優先した最新のレンズ設計の香りがします。クラシックな見た目ながら、開放から解像力優先の絞るほどにシャープな1本といえるでしょう。
●TTArtisan 35mm f/1.4 ASPH
レンズ構成:7群8枚
最大径×長さ:Φ約55×73mm
質量:約410g
実勢価格:56,000円前後(税込)
※2019年12月独自調べ
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齋藤千歳 Saito Titoce Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決&Foton電子写真集シリーズ』代表、 カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。 月刊カメラ誌の編集者を経て、北海道・千歳市を拠点に車中泊で全道各地を撮影、 カメラ・写真および北海道関連の電子書籍の撮影・執筆・編集・出版を行っています。 カメラのキタムラさんが運営する ShaSha(http://shasha.kitamura.jp/)および PASHA STYLE(https://pasha.style/)にてレンズレビューを連載中。 ケンコー・トキナー公式インストラクター No.021、 北海道ファンマガジン(https://pucchi.net/)Sクラス認定ライター。 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。 Facebookはtitoce.saitoです。 カメラ・写真および北海道関連のよろずお仕事承ります。