smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited 機種別レンズラボ 齋藤千歳の結論

smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited 機種別レンズラボ 齋藤千歳の結論

※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
※解像力・ぼけディスク・周辺光量落ち・最短撮影距離の実写チャートによる詳細な評価などもご覧いただくにはぜひ完全版である電子書籍をご覧ください。

絞りで表現が変わる名玉
選択する絞り値で変わる描写を上手に活用して撮影したい

 PENTAXで神レンズといわれるレンズの1本がsmc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedだ。43mm、77mmとFA Limited三姉妹と呼ばれ、もっとも評価の高い31mmはラスボスなどとも呼ばれている。2001年5月とフィルム時代に発売されたレンズながら、デジタルで使用しても、まったく弱点のないパーフェクトなレンズと評価されることも多い。このFA Limitedの31mmを改めて35mm判フルサイズのデジタルカメラであるK-1との組み合わせでレビューした。
 開放から全域でシャープという評価も散見するが、筆者は絞り値によって味わいの違う描写が、このレンズの真骨頂ではないかと思う。開放のF1.8からF2.8では、デジタル用に開発されたレンズとは異なるやわらかい描写が楽しめる。中央部の解像力は高いのだが、周辺部では解像力が落ち、さらに大きなぼけが発生しやすいので、芯はあるのにやわらかい描写となる。続いてF2.8〜4.0くらいまでは、ピントを合わせた部分はシャープに、前後にはゆるやかに自然なぼけが発生するため、奥行きや距離感を表現するのにぴったりだ。さらに、このレンズの解像力のピークであるF5.6〜11では、広角単焦点レンズらしい画像全体がシャープな描写となる。作例でもF8.0で撮影したものが多くなっている。ただし、F11以降では解像力が低下するのでF8.0までをお薦めする。発売から15年以上たつレンズとは思えない性能だが、弱点がないわけではない。ちょっと絞れば周辺光量落ちも少なく、夕朝焼けなどの逆光にも強い。気になるのは、パープルフリンジ。目立つシーンではRAWで撮影して現像時に調整しよう。レンズの作りのよさはいうまでもない。ただし、絞り値によって変わる描写、10万円近い価格など、初心者向きではないが、F2.8まではよい意味でのクセ玉、F2.8以降は正統派の実力を発揮する撮影者をとりこにする1本といえる。

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齋藤千歳 Saito Titoce
 Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決&Foton電子写真集シリーズ』代表、
カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。
 月刊カメラ誌の編集者を経て、北海道・千歳市を拠点に車中泊で全道各地を撮影、
カメラ・写真および北海道関連の電子書籍の撮影・執筆・編集・出版を行っています。
カメラのキタムラさんが運営する
ShaSha(http://shasha.kitamura.jp/)にてレンズレビューを連載中。
ケンコー・トキナー公式インストラクター No.021、
北海道ファンマガジン(https://pucchi.net/)Sクラス認定ライター。
 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。
 Facebookはtitoce.saitoです。
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