Nikon Z 7 カメラデータベース 小山壯二の結論

Nikon Z 7 カメラデータベース 小山壯二の結論

※本ブログは、電子書籍カメララボシリーズやカメラデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
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情報量重視の高い基本性能
Z 7本来の高いポテンシャルはRAW現像で引き出して使うべし

 Nikon Z 7はもはや伝統となったFマウントを廃し、口径を拡大しフランジバックを短くしたZマウントを採用したフラッグシップ的な35mm判フルサイズの多画素ミラーレス一眼カメラです。優秀なレンズとして評判の高いNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sを使って今回のテストを行いました。このレンズの性能も十分高いのですが、ピクセル単位での高い解像力はデジタル一眼レフ時代から続く伝統の設計思想によるものであり、とても素晴らしいと感じます。増感感度を除けば多画素を生かした緻密な描写は見事です。暗部の色彩再現においても色彩を失うことなく、増感感度いっぱいまでの優秀な色彩再現はメーカーの意気込みを感じます。
反面気になる点も散見できました。ひとつめは各ピクチャーコントロールに個性がない点です。単に彩度と階調カーブだけの色彩の違いでは名称にマッチしていません。つまり、ひとつの色彩を微調整しただけの設定に感じられます。ひとつの色彩がメーカーの答えではなく、目的意識をもって使いわける表現の醍醐味を重要視してほしいところです。Creative Picture Controlもおもしろいですが、基本となる色彩のそれぞれの個性を感じないのは残念です。ふたつめはJPEG時のダイナミックレンジの狭さです。暗部の再現は、単に数値が0になるかならないかではなく、そこに差がみられるかどうかであり、Z 7は暗部が簡単にノイズに埋もれたようになり、結果的にJPEGでの実用的なレンジが広くありません。増感感度でなければ安定して9段の幅はほしいところです。RAW現像時に調整すると驚くほどの暗部情報が浮かびあがってくるので、この結果はピクチャーコントロールの設計の影響と考えられます。
Z 7の性能を最大限引き出すにはRAWでの撮影を強くすすめます。色彩やダイナミックレンジなどカメラのポテンシャルを最大限に引き出すには、RAW現像時に撮影意図を具現化するというステップが必須となります。そのため入門者よりも上級者向けのカメラであり、レンズの拡充につれて作品を自在に仕上げる大きな喜びを感じられる1台となるでしょう。

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小山壯二
株式会社プロテック代表取締役
いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、
精⼀杯写真を撮影する。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。
最近はパノラマ撮影など、写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。