SAMYANG AF50mm F1.4 FE 機種別レンズラボ 齋藤千歳の結論

SAMYANG AF50mm F1.4 FE 機種別レンズラボ 齋藤千歳の結論

※本ブログは、電子書籍レンズラボシリーズやレンズデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
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クラシックな描写の標準レンズ
絞り値で中央部分の解像力も変化する特徴をしっかり把握したい1本

 SAMYANG AF50mm F1.4 FEは、2016年12月に発売された35mm判フルサイズ対応の標準レンズだ。対応マウントはSony Eマウントになっている。発売当初、多くのユーザーから注目を浴びた理由は、それまでマニュアルフォーカスレンズ(MF)のみであったSAMYANGレンズで、はじめてオートフォーカス(AF)機構を搭載したためだ。フィルター径は67mm、最大径97.7×73.5mmで約585gと大ぶりなレンズだが、開放F値は1.4と明るい。レンズ構成は8群9枚。その1/3に当たる3枚は非球面レンズになっている。絞り羽根の枚数は9枚と、明るい開放F値でのぼけ描写に配慮されている。
 2016年末発売と設計は新しいはずだが、その描写特性はクラシックな傾向。現在、レンズの設計のトレンドは、開放絞り選択時から画面中央においては十分以上に解像力を示し、絞り開放から周辺部以外が解像感は変化しないというレンズも珍しくない。これに対して、AF50mm F1.4 FEは、絞り開放のF1.4ではF1.7と比較しても中央部の描写があまく、やわらかになる。やや古い設計の明るい大口径レンズでは、絞り開放時には球面収差を残して、全体にやわらかな描写になることを設計上の計算に入れているというレンズも多くあった。AF50mm F1.4 FEは、この傾向を意図しているのだろう。そのためF1.4はあまく、F1.7から少し解像感がアップ、F2.8でさらに向上し、画面全体の解像力のピークはF8.0前後になる。画面全体に解像力を重視するならF4.0以降をおすすめする。筆者は、開放絞り値が明るいから、開放の描写があまくてもいいとは思わない。ただし50mm F1.4を、さらなる表現を求めて、手持ちのズームと焦点距離のかぶる単焦点として購入する場合などは、その個性が把握できていれば、明るく開放絞りの描写がやわらかなレンズも魅力的だと考える。開放のF1.4にシャープさを求めるのか、やわらかさを求めるのかでも、評価は異なるだろう。初搭載のAFについては、AF-Sでは実用十分。AF-Cと動画撮影時に使用するなら、さらなる進化を期待したい。

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齋藤千歳 Saito Titoce
 Amazon Kindle電子書籍『ぼろフォト解決&Foton電子写真集シリーズ』代表、
 カメラ・写真ブログ「Boro-Photo」代表。
 月刊カメラ誌の編集者を経て、カメラ・写真および北海道関連の
電子書籍の撮影・執筆・編集・出版を行っています。
ケンコー・トキナー公式インストラクター No.021、
北海道ファンマガジン(https://pucchi.net/)Sクラス認定ライター。
 ケンコー・トキナー公式写真ブログでも連載中。
 Facebookはtitoce.saitoです。
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