FUJIFILM X-T3 カメラデータベース 小山壯二の結論

FUJIFILM X-T3 カメラデータベース 小山壯二の結論

※本ブログは、電子書籍カメララボシリーズやカメラデータベースシリーズを結論部分を掲載したものです。
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カメラとして高い完成度
35mm判フルサイズか? APS-Cか? の議論を陳腐化させる実力機

 FUJIFILM X-T3はAPS-Cミラーレス一眼としては大柄で、35mm判フルサイズ(以下、フルサイズ)機のCanon EOS RPより重く、大きさは同等です。フジフイルムのカメラ共通のダイヤルを多用したデザインは硬派な印象で、電源オフでも多くの設定を確認できる点は、フィルム一眼に慣れた方でなくとも、視認性のよさを実感できます。もっとも重要な画像性能はフルサイズに迫るのか、詳細に確認しました。
 標準出力感度のISO 12800までのノイズの増加や細部の消失、色彩コントロールは非常に優れており、ISO感度オートで最高をISO 12800として、自由に絞りとシャッタースピードを選択しても大きなリスクはありません。拡張モードの高感度ではノイズも増え、あくまで非常時の補助的な性能ですが、35mm判フルサイズ機に劣る印象はありません。さらに賞賛すべきはダイナミックレンジでしょう。画素ピッチが小さくなると最初に影響を受けるのはダイナミックレンジ性能ですが、拡張モード域でも大きな変化はなく、狭いレンジでメリハリ感優先のフルサイズ機が多い昨今、高感度まで約9段を保持している点は見事です。各フィルム名を冠したフィルムシミュレーションは、単に彩度とトーンを変えただけではない、個々に目的を感じる色彩群としてメーカーのプライドを感じます。「色彩はRAW現像で決めるからなんでもよい」ではなく、一度すべての設定で撮り比べてみて、お気に入りを2〜3種選んでおくと撮影時に有効だと思います。筆者は基本を「PROVIA/スタンダード」か「ASTIA/ソフト」のどちらかとし、被写体に応じてほかを選択するという使い方をしています。
 連写性能、メカニカルと電子シャッターの使い分け、美しいファインダーなど、ハードウエアの性能をとってもフルサイズ機に遅れをとることはありません。APS-Cという小さな撮像素子を原因とするノイズや高感度特性についてむ、もはや優劣を論じる必要はないと確信できる結果でした。実際の撮影でレンズ数本とボディを携行する重さと大きさは、フルサイズ機とは比べものにならないほどコンパクトです。

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小山壯二
株式会社プロテック代表取締役
いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、
精⼀杯写真を撮影する。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。
最近はパノラマ撮影など、写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。