小山壯二のカメラの“!?”意外に知らないJPEGの話-本当に劣化するのか?
デジタルデータのファイル形式は様々あるのですが、誰でも知っているもののひとつがJPEG(ジェーペグ)だと思います。そしてJPEGが容量を小さくするために「圧縮」できることも、その度合いを調整出来ることも多くの人がご存じと思います。ではどの程度劣化するのか、繰り返し保存したらどうなるか? なんとなく分かったつもりでいるのではないでしょうか。
今回は3つの圧縮率で、最大50回繰り返し保存し、どのように劣化が進むかオリジナルと比較観察してみました。
私としては意外な結果に少し驚いています。
使用アプリ:Adobe Photoshop2020(Mac) 画像データ:FUJIFILM X-E4で撮影したRAWデータをCamera-RAWでTIFF(無圧縮)に書き出し
圧縮率とファイル容量の関係は以下の通り
繰り返し保存で劣化は進むのか、jpeg8保存で最大50回まで繰り返し、保存したデータを開いては保存する作業を繰り返しました
ほぼ300%拡大表示で観察しても差を肉眼で見つけることは困難です。私の思い込みでは50回繰り返せば、さぞ醜い絵になると思っていました。
オリジナルとの厳密な差を観察しやすくするため、オリジナルの上に判定したい画像をレイヤーで重ね、「差の絶対値」を指定し、そのままでは判断できないので、調整レイヤー「レベル補正」で分かりやすいように調整しています。
数値に全く差が無ければ真っ黒になり、2枚の画像に差がある部分が明るく表示されています(上の画像はjpeg2で1回保存のデータです)。テスト中最も低品質な設定なので、ほとんどの部分で差が明確に確認出来ています。高品質ではどうなるか楽しみです。
圧縮率3種、繰り返し保存回数を1回と20回とした6枚の画像を、上記の方法で比較しました
確かに圧縮率の低いjpeg8ではオリジナルとの差が小さいことが分かります。しかも、1回目と20回目で差が認められませんでした。ファイルサイズもまっく変わらなかった事と符合しています。冒頭の回数による変化を目視で比較した結果と同じです。
ではjpeg2の部分アップとオリジナルの比較をしてみます(左:オリジナル 右:jpeg2保存)
元のデータは明らかなブロックノイズが見てとれるのですが、Web上の表示では「少し甘いかな」程度では無いでしょうか
jpeg2といえど馬鹿になりませんね。
jpeg圧縮の考察
1)繰り返し保存しても品質劣化は進まない
2)最初に保存した時の圧縮率による劣化は取り返しが付かない
3)目視で劣化が無視できる範囲は、jpeg8までがおすすめ
4)不必要に大きな画素数で高い圧縮率のjpegを保存するなら、画素数を半分にして圧縮率を抑えるべき
jpeg圧縮保存といっても、計算式が全てのアプリやカメラで全く同じではありません。今回使ったPhotoshop2022以外では違った結果が出るかもしれません。
私の記憶が正しければ10年前のPhotoshopでは、繰り返し保存で徐々に容量が変化したと記憶しています。
小山壯二
株式会社プロテック代表取締役
いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、
精⼀杯写真を撮影する広告カメラマン。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。
最近は語られなくなっているデジタルフォトの基礎など、深掘り小山壯二として使命を感じて活動。
写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。
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