小山壯二のカメラの“!?”写真印刷・プリントのカラーマネージメント！　現在みなさんはどうしていますか？　その1

カラーマネージメントを知ってからは、使用するプリンターと使用する用紙で色域を測定し、オリジナルのICCプロファイルを作成し、プリント時に適用していました。しかし、数年前からパソコンをMacとした場合にはCanonの民生用インクジェットプリンターでは、プリンタドライバーでの「カラーマッチング」という項目が無くなってしまい、ドライバーでのオリジナルICCプロファイルを使う方法がなくなり、途方に暮れる思いでした。

カラーマネージメントしてプリントする為の選択肢は限られてきたと感じています
１）Canonがドライバーを提供していたころの古いプリンターを大事に対合う
２）エプソンプリンターに乗り換える
３）Windowsマシンに切り替える

今まではハードに依存してきたプリンタドライバの機能を、OS内の「AirPrint]という仕組みに統合したように思えます。色調整などは完全にブラックボックスになりました。Canonでもハイエンドプリンターでは以前と同様の使い方が出来そうですが、普段使いならば安価なA4インクジェット複合機でも、ICCプロファイルを使った色再現性に不満はありませんでした。
プリンタドライバーでICCプロファイルの自由な選択が出来なくても、全く解決策がないわけではありません。
Adobe Photoshopなど一分のアプリケーションではICCプロファイルを選択する機能があるので、ICCプロファイルを正しく制作できれば、なんとかなるかもしれません。制作レポートは次回紹介します。

macOSにおける新旧のプリンタドライバの中身を確認してみます

上が旧プリンター、下が最近のプリンターです。プルダウンで選択できる項目が大きく異なっています。掲載はmacOSに純正付属の「プレビュー」アプリです。以前は多くのアプリから「カラーマッチング」が選択できていました。

Photoshopからのプリントでもプリンタドライバーの設定内容は同じです

上はmacOS10.15 Catalina　プリンターCanon　iP8730（まあまあ古いです）　Photoshop 2022
下はmacOS12 Monterey プリンターCanon　TS8630（2022年秋）　Photoshop 2023

しかし、Photoshop側にもICCプロファイルが選択できる場所があります

「プリント」ウインドウの中程、左がmacOS10.15　Catalina　Photoshop 2022　右はmacOS12 Monterey　 Photoshop 2023

ここで「Photoshopによるカラー管理」を選択し、制作したオリジナルのICCプロファイルを指定することが出来ます

ここからは想像の域を出ませんので、真偽はわかりません
旧システムでは、Photoshopで「プリンターによるカラー管理」ではプリンタドライバーで色管理して、「Photoshopによるカラー管理」を選択すると、プリンタドライバーの「カラーマッチング」はグレーアウトして選択できず、Photoshopからプリンタに受け渡すまえに色管理をおこないます。
その結果どちらか一方のカラーマッチング機構だけが動作する仕組みです。
では新システムではどうかというと、プリンタドライバーに設定は無くても、Photoshopで「Photoshopによるカラー管理」を選択した場合には、同様の動作をしているようです。意地悪く社外品の用紙を使ってICCプロファイルを作成した場合でも、Photosopで指定すればほぼ正しい色彩でプリントできました。「プリンターによるカラー管理」では当然のように選択できる用紙もなく、色調整の項目も存在しないので色彩は酷く、調整も不可です。

次回はプリンターICCプロファイルを最も安価に作成できる、「calibrite カラーチェッカースタジオ（旧X-Rite i1Studio)」を使ってICCプロファイル制作を試みたレポートをお伝えします。

小山壯二
株式会社プロテック代表取締役
いち早くデジタルフォトに取り組み、画像処理前とアナログ時代に培った撮影テクニックで、
精⼀杯写真を撮影する広告カメラマン。テスト記事を中⼼にカメラ雑誌への執筆も数多くこなしてきた。
最近は語られなくなっているデジタルフォトの基礎など、深掘り小山壯二として使命を感じて活動。
写真に関する好奇⼼はいまもって旺盛。