ICT(情報通信技術)×農業で未来が変わる! スマート農業特集

深刻な労働力不足である農業こそICT(情報通信技術)で未来を変えるべきだといいます。
そんなスマート農業について「広報「花の里つきがた2022年8月号」」に掲載されていましたので、転載して紹介します。

以下、「広報「花の里つきがた2022年8月号」」より

ICT(情報通信技術)×農業で未来が変わる! スマート農業特集

月形町の基幹産業は農業です。昭和40年代半ばには国の減反政策に対応し、複合経営が盛んに行われるようになりました。
花きやメロンの栽培が導入され、今ではスイカやトマト、カボチャなどのさまざまな作物の栽培が行われています。
現在、国の農業政策の転換と農業の国際化の進展、高齢化と後継者不足などによる農家戸数の減少により、町の活力低下が大きな問題となってきています。
本号では、これらの問題解決手段の一つと考えられる「スマート農業」の活用について、解説や導入事例、月形町が行っている支援事業などについて紹介します。

深刻な労働力不足

農林水産省の統計「農林業センサス」によると、担い手の減少・高齢化の進行などにより労働力不足が深刻となっています。
農業の現場では、依然として人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業が多く、省力化、人手の確保、労力負担の軽減が重要な課題となっています。
そこで、日本の農業に「先端技術」を駆使した「スマート農業」を取り入れることにより、農作業における省力化・軽労化を更に進めることで、新規就農者の増加や栽培技術の効率的な継承などが期待されます。

スマート農業とは?

スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質作物の生産の実現などを推進する新たな農業のことです。
スマート農業には下記の特徴があり、農作業に大きく貢献しています。具体的には、傾斜地でも利用可能な草刈機、経営管理システム、ドローンによる防除・生育把握などがあり、農作業の負担軽減や作業時間の削減にも有効です。水田作では、田起こし・種まきから収穫までの生産や経営管理などのスマート農業技術が開発され、その多くが実用化されています。

○作業の効率化
ロボットトラクタ、スマートフォンで操作する水田の水管理システムなどの活用により、作業を自動化し人手を省くことが可能になります

○情報共有の簡易化
位置情報と連携した経営管理アプリの活用により、作業の記録をデジタル化・自動化し、熟練者でなくても生産活動の主体になることが可能になります

○データの活用
ドローン・衛星によるデータや気象データのAI 解析により、農作物の生育や病虫害を予測し、高度な農業形態が可能になります

実際に導入している方を紹介します!

導入事例① 上葛泰隆さん(札比内)【直進アシスト機能付き田植機】

この田植機は直進専用の自動操舵システムが搭載されており、事前に基準線を登録することで、方向転換以外はボタンを操作するだけで基準線にそって田植え作業をすることができます。
導入前は運転と苗補給を2人体制で行っていましたが、今は1人で作業を行えるようになりました。植えるスピードも速いので、作業効率も向上しました。
最近よく耳にする「働き方改革」ですが、農業にとっても大切なことだと思っています。

導入事例② 中村貴広さん(知来乙2)【農業用ドローンでの農薬散布】

 以前は母親と2人でホースを用いて除草剤を撒いていましたが、母も高齢になり作業負担が大きくなってきたため導入しました。ドローンを使えば、コントローラーを操作するだけで除草剤散布作業ができます。操作方法も簡単で、メーカーの人に教えてもらい2~3回の運転で慣れました。難点はバッテリーの持ちが悪く、1本10 分程度で使い切ってしまうためこまめな交換と充電が必要なところです。今後、スマート農業の普及に伴い機械の性能も上がることを期待しています。

導入事例③ 伊藤格さん(月ヶ岡)【トラクター自動操舵システム】

ブレーキ以外は自動運転なので疲れにくいのはもちろん、作業位置がタッチパネルに表示されているため、耕運箇所が重なることなく効率的に作業することができます。RTK を搭載しているので、誤差も5cm以内と少ないです。以前は耕運箇所が重ならないよう事前に畑の距離を測って棒を立てる作業を1日かけて行っていたので、作業量がかなり軽減されました。
※『リアルタイムキネマティック』の略。地上に設置した「基準局」からの位置情報データによって、高い精度の測位を実現する技術

月形町では、スマート農業の導入を検討している方への支援を行っています。「費用が高いから迷っている」「手続方法がわからない」などお悩みの場合は、ご相談ください。

~町の支援事業~
○農業継続支援事業
スマート農業機械・装置の本体および付属品の導入費用(自ら行った設置工事費用は除く)に対し、3分の1(上限30 万円)の補助金を支給します
※補助対象の機械などは農林水産省ホームページの「スマート農業技術カタログ」に掲載されています
【問合せ先】 農林建設課農政係 ☎□IP 53・2322

~相談窓口~
○月形町農業改良協会
農業技術の改良普及および農家経済の発展を図り、月形の農業の確立を目指すことを目的としています
【問合せ先】農林建設課農政係 ☎□IP 53・2322 月形町農業協同組合営農推進課営農推進係☎ 53・3400

スマート農業の課題と今後の展望

「スマート農業」という言葉になじみのない方もいるかもしれませんが、月形町でも導入している農家の方が増えており、農業のやり方も昔と比べて大きく変化しています。
スマート農業には作業負担の軽減などのメリットがある反面、メーカーにより仕様が異なり互換性がないことや、故障時のサポート体制に不安があるという意見もありました。また、機械などを購入しても農業者が正しく使いこなせていない場合も多く、普及推進と連動して研修・勉強する機会を設けることが重要となっています。
急速に進歩する技術に対応していくためにも、研究・普及組織やJAなどの系統組織とも連携が不可欠です。また、各地で蓄積されたスマート農業に関する知見や課題を集約し、町内だけでなく空知管内全域で共有する体制を構築することが求められています。

以上、「広報「花の里つきがた2022年8月号」」より

農業のICT化は具体的に進んでいるのだと痛感しました。

関連するような記事
エキノコックス症の原因にもなる「住宅地のキツネ」アーバンフォックスに注意!